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スクールカウンセラーの娘が不登校だったはなし

更新日:4月30日


公園のアスファルトにチョークで一生懸命絵を描き続ける娘の様子
お絵描き大好き

実は、わが家の娘は不登校経験者です。


小学校1年生のときから登校渋りは見られましたが

本格的に不登校になったのは3年生の3学期の終わりごろでした。


私はそのとき、某小学校でスクールカウンセラーをしていたのですが


“うちの子もいつか不登校になる可能性は高いと思っていたけど、ついにこのときがきたか…”


“スクールカウンセラーの娘が不登校で良いのかしら?”


“話したがらないけど、ほんとうの原因って何だろう?”


いろいろな想いが巡っていました。


これまで

登校拒否をしているお子さんの話や

養育者さんのお話をお聴きしてきましたが


それぞれ、ひとりひとり、状況は異なります。

原因も違いますし、そもそも原因がひとつに絞られるということは稀だと思います。


『不登校の原因は〇〇だから□□をすればいい』とか

『発達に偏りがあるから』とか

『育て方が悪い、愛情不足』とか


そういう単純なものではなく


お子さんの状況、家庭の状況、学校の状況、友人関係、過去のできごとなど

さまざまなものが、複雑にからみ合っていて

いろいろな面から丁寧に紐解いていかなければ、本当のことは見えてこないと思っています。


ご家庭に不登校のお子さんがいる養育者さんの心配や不安や、そこからくる疲労感は大きいと思います。


私自身、『学校』という組織に所属するかどうかにはこだわらない人間で

既成のルートを外れるなら外れるで、かまわなくとも

“じゃあ、どの道を行く?”と


可能性は無限大だからこそ


今、どの道を選択すべきか

今日、何をしたらいいのか

考えない日はないほど、考えていました。


学校に行かなくても道はあります。


ただ、すぐに他の選択肢に移れるほど

日本の構造が柔軟ではないということも体感しました。


現在の学校の組織・運営として


通常学級での一斉指導では難しいとなった場合

支援級に移籍するという方法もあり


知的にサポートが必要な子のためのクラス

気持ちの切り替えの困難さなど情緒面でのサポートが必要な子のためのクラスなど

設置が増えていたり


学習障害といわれる

『読み書きの困難さ』をもつ子どもたちのための

『ことばの教室』と呼ばれる教室が設置されています。


小学校によってはサポートルームなどと呼ばれる

何らかの理由で集団に入れないときに個別サポートをしてもらえる場所を設置しているところもありますし


江ノ島の海 波打ち際で遊ぶ子ども 自然と触れ合う
自然と遊ぶ子

適応教室と呼ばれるような

何らかの理由から『学校という場所になじめない』

子たちが通える教室もあります。


これだけ書き出すと

『かなり手厚いサポートがあるな』と感じられるのですが


実情はなかなか難しいところもあります。




そもそも子どもの方が

“組織への抵抗”“他者との関わりの拒否”を示すこともあります。


ことばの教室や特別支援教室は定員いっぱいで“あき待ち”のこともあります。


また、親の世代にとっては

自分たちの子ども時代になかったサポートが次々できているために

どういうときに、どういうふうに、それらを利用していけるのか

とても分かりづらいです。


『支援級=障害者』という概念が強くあったり

子どもの発達障害や発達特性の理解や受容が難しかったり

支援級などに所属した場合に、将来の展望が閉ざされるような感覚になったりすることもあります。



そして、親側の認識の問題だけでなく

何年も教育現場にいる先生方も

新たな制度や取組みが次々加わっていくため

“くわしく分かっていない”場合もあります。


さらに、サポートルームや支援級、ことばの教室が、子どもが通っている学校にはない場合もあり


例えば「ことばの教室に通いたい」となった場合

小学生が所属している学校から移動するときには

近隣の学校まで、親が仕事を休むなどして送迎しないといけません。


現代は共働きの夫婦が多いですし

ひとり親家庭も増えていて

学校の事情と、家庭の事情が、かみ合っていないと感じるところです。



学校以外の組織

フリースクールや、放課後等デイサービスを利用したり

家庭学習をしながら習い事などで経験を積んでいくこともできます。


しかしその場合でも

金銭面の負担や、親の送迎の負担、仕事との兼ね合い

子どもをひとり家に残しておく不安など

さまざまな壁が立ちはだかります。


文部科学省も

『学びや選択の多様性』を打ち出しつつも


スクールカウンセラーに対しては

『学びの基本は学校なので子どもを学校に戻す』

という姿勢を要求しています。



現在、コロナ禍を経たこともあり

社会のあり方や枠組みが大きく変わり

“こうあるべき”という概念も大きく変化しているまっただ中です。


昭和~平成に子ども時代を過ごした親と

令和に育つ子どもたちの常識や感覚の大きな違いはありますが


既存の概念や枠に縛られず

社会の評価におびえず

自分らしく、穏やかに、のびのび生きていくということの模索は

子どもにとっても大人にとっても

より大切に、重要になっていく時代なのかなと感じています。


江ノ島に住むねこさん 初めて会う人にも信頼して体をあずけます
のびのび生きる






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